毎朝の「傭車の電話」をなくす方法
― 生コン・ミキサー車の台数調整 ―
朝7時。明日は3台足りない。受話器を取って、いつもの会社に順番にかけていく。
生コン工場でも、ミキサー輸送会社でも、毎日くり返されている光景です。この記事では、なぜ傭車(車両の貸し借り)が毎朝の電話になってしまうのか、そして電話をかけずに相手を決める方法を、現場の手順に沿って整理します。
なぜ毎朝、電話をかけることになるのか
理由はひとつです。自分の会社の余り・不足は分かっても、相手の会社の状況が分からないから。
出荷量は前日の夕方から当日の朝にかけて確定します。打設が延期になれば車が余り、追加が入れば足りなくなる。相手の会社も同じように毎日変わっています。だから「明日はどうですか」と聞くしかない。これが電話の正体です。
そして電話は、かけた順に決まっていきます。早くかけた会社が有利で、遅れると「もう出払いました」と言われる。だから朝いちばんに電話が集中します。
電話のやり方に潜む、4つのムダ
1. 時間が読めない
1社で決まれば3分、5社かけて決まらなければ30分。しかもいちばん忙しい時間帯に、電話の前から離れられなくなります。
2. 担当者しかできない
「どこに何台あるか」「誰に頼めば聞いてくれるか」は、長年やっている配車担当の頭の中にあります。その人が休むと、とたんに回らなくなる。引き継ぎができない業務になりがちです。
3. 断られたときの手戻り
3社目で断られ、1社目に戻ったらもう埋まっていた——という取りこぼしが起きます。全員が同時に電話をかけ合っているので、組み合わせとしては成立するはずの貸し借りが成立しないことが頻繁に起きています。
4. 記録が残らない
「先月、A社に何台貸したか」を正確に言える会社は多くありません。貸し借りのバランスが分からないので、「うちばかり貸している気がする」という不満が溜まっていきます。
よくある3つの対処法と、その限界
| やり方 | いいところ | 限界 |
|---|---|---|
| 当番制 (順番に声をかける) | 公平感がある | 当番の会社に余裕がない日は結局ふりだし。結局は電話 |
| LINEグループ (全社で「2台余ります」と投げる) | 一斉に伝わる。無料 | 早い者勝ちになる。全社に自社の余り・不足が筒抜け。流れて見落とす |
| エクセル共有 (クラウドに表を置く) | 記録が残る | 入力する人としない人が出る。結局誰かが電話で確認する |
どれも「情報を集める」ところまではできますが、誰と誰を組ませるかを決める作業が人間に残るのが共通の限界です。
解決の考え方:台数だけ共有して、組み合わせは自動で決める
ポイントは2つあります。
- 共有するのは「台数」だけにする(誰が何台余っているかは、当人以外に見せない)
- 組み合わせは、あらかじめ決めたルールで自動的に決める(早い者勝ちをやめる)
この2つを満たすと、電話は不要になります。各社が「明日 2台余る」「明日 3台足りない」と入れておけば、余っている側と足りない側を突き合わせるだけで、貸し借りの相手は機械的に決まるからです。
実際の1日の流れ
- 前日の日中:各社が翌日の「余り/不足の台数」を入れる(数字を1つ選ぶだけ・10秒)
- 前日の朝8時:優先順位にしたがって、貸し借りの組み合わせが自動的に確定する
- 確定後:相手の会社名・担当者・電話番号が表示され、メールで通知が届く
- あとは:出発時間や現場の打ち合わせだけを、相手と直接やりとりする
「どこに頼むか探す電話」がなくなり、「決まった相手との打ち合わせ」だけが残ります。これが、傭車の電話をなくすということです。
現場からよく出る質問
うちの余り台数を、同業他社に知られたくない
他社の台数は見えない作りにするのが正解です。実際に私たちが作ったシステムでは、自分が見られるのは自社の台数と、成立した貸し借りだけです。「A社が5台余っている」といった情報は誰にも表示されません。
貸したくない相手がいる
優先順位に入れない、あるいは「取引停止」に設定すれば、その相手とは組み合わされません。付き合いのある会社だけで回せます。
条件つきでしか貸せない日がある(低床車のみ、午前のみ、許可書が必要など)
条件を指定して特定の相手に直接申し込む仕組みがあると解決します。相手が受ければ、自動の組み合わせより先に成立します。
パソコンが苦手な人でも使えるか
入力が「台数を選ぶ」だけで終わる作りなら大丈夫です。スマホで操作でき、ホーム画面にアプリとして置ければ、電話帳を開くのと変わりません。
まとめ
- 傭車の電話は、相手の状況が分からないから発生する
- LINEやエクセルでは、組み合わせを決める作業が人に残る
- 「台数だけ共有」+「優先順位で自動的に決める」で、電話そのものがなくなる
- 他社の台数を見せない作りなら、情報が筒抜けになる心配もない
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